2019/6/13 2周目&特別授業まで読了。
この春、中高一貫校である冠咲学園の高等部に進級した橘川冴子(たちかわ・さえこ)。
特定の友人を作らず、人付き合いは「狭く浅く」がモットーの彼女だったが
ひょんなことがきっかけで社会科担当教師・楠見清孝(くすみ・きよたか)から
「補習」という名の個別指導を受けるようになる。
月日は流れて次の年の春、
冴子のクラスにやってきた転校生・楡居凪(にれい・なぎ)が隣の席となり――
オトメイト×フロンティアワークスによるtriAngle PROJECT
第二弾である「片恋いコントラスト」。
中高一貫校を舞台とした学園青春三角関係物で、
最終巻となる今作のお相手は教師及び転校生。
気が付けば全三巻を一本にまとめたSwitch版が既に発売され、
そちらには追加の後日談までついて来てしまっているのでありますが
(正直、三巻連動特典が肩透かしだった分ちょっぴり期待しちゃってるんですが)
敢えてのPC版の感想であります。
主人公の橘川冴子ちゃんは誰とも仲良くなろうとしたがらないネガティブっ子。
対するこれまでのお相手は良くも悪くも積極的、
言い換えれば強引な方々でしたので
否応なく巻き込まれ、振り回される形で、
結果的に恋物語が成立しておりました。
が、今回の「初恋編」のお相手である楠見先生は無気力だるだる系の教師で
生徒と個別に交流をしたがるタイプでは決してない。
(むしろそういうのから逃げ回る方)
この二人が、出会うまでは(同じ学校だから)いいとしても
その後、お互いあんまり関係を深めようとしなさそうで
どっちからどうやってそういう話に持ち込むのか、
という点は大いに気になるところでした。
…まさか冴子ちゃんの成績がよろしくない、
なんて設定が三巻でいきなり明らかになって
それを見かねた先生が勉強を見て下さる、なんて展開になろうとは。
そんなこんなで先生と一緒に過ごす時間が長くなっていき、
気が付けば冴子ちゃんは先生に想いを寄せるようになっていく訳ですが、
教師である楠見先生が生徒である冴子ちゃんの想いを
すんなり受け入れてくれるはずがなく。
『忘れられない過去の恋』と『失恋の傷を癒した未来の恋』
この二つが同時にやってきた時、あなたは最後にどちらを選びますか?
という「片恋」のコンセプト的に
「初恋の人」とは(最初は)結ばれないのがお約束でありますが
第三巻は相手が相手だけに「まあこうなるよなー」と至極当たり前に納得できた感じ。
一方、「傷恋編」担当の楡居くんの方はと言いますと、
初遭遇が入学式&始業式の日で、見知らぬ、真新しい制服を着た(小柄な)生徒だったため
新入生扱いをしちゃったのが楡居くんの地雷を的確に踏み抜いた形でございまして。
あちらからは喧嘩腰に「謝れ」と詰め寄られ、
やむを得ず謝罪するも「心がこもってない」とダメ出しを食らい、
「ちょっと間違えただけなのに!」と冴子ちゃんの方もついつい感情的に対応。
以降、話せば何故か言い争ってしまう、犬猿の仲状態に突入し
先生とはまた別の意味でどっちからどうやって恋愛話に至るのか大変興味深い、という。
…ケンカップルって大変美味しくてよろしいと思います。
基本的に「個別ルートとかなしでほぼ完全に一本道、BadEDもなし」なので
「初恋編」で先生に心惹かれ、「傷恋編」で楡居くんと仲良く喧嘩するのは決定事項。
ですがその後の「三角関係編」は起こるイベント(文化祭等)は同じだけれど
その展開がどっち寄りのものになるかは恐らく好感度で分岐、
最終的にどちらのEDになるのかも同じく好感度に因るものと思われます。
…正直、あれだけあれこれあった相手を袖にして別の方とって、
気まずいなんてもんじゃないですからねぇ。
この「片恋いコントラスト」という作品の舞台は異世界とかでなく現代日本で
妖精だとか特殊な能力者とかも出てこない純粋な学園青春物ですので
自分としてはかなり珍しいというか、正直新鮮でございました。
主人公や攻略対象の年齢層もほぼ高校生(先生も入ってるけど)だし
物語中の出来事も、現実的に起こらなそうで起こりそうなギリギリのラインだしで。
他のTriAngleProject作品の「Tlicolity Eyes」や「蛇香のライラ」みたいな
突き抜けた華やかさとかはないかもだけれど、
その分心の機微を丁寧に追いかけてくれた作品だと思います。
たまにはこういうお話もありですよなー。
個別感想(ネタバレ配慮してません)
楠見清孝 感想→
■楡居 凪 感想→
■ちなみに全三巻通しての個人的ランキングは以下な感じ。
樫永和兎≒楡居凪>桐阪保>楠見清孝>檜渡鈴太朗>椎葉亜樹那
…狙ったつもりはないのに何でか「傷恋編」担当ばかりが上位に。
やっぱ「初恋編」で一度フラれたりお別れするっつーのは
物語の展開上仕方がないとわかっているつもりでも精神的に厳しかった、かもしれません。
あ、亜樹那さんに関しては間違いなく
「焼きナス味ソフトキャンディ」なんつー危険なものを強引に薦めてきたからです(私怨)。
過去に起因する蟠りは解消されたみたいなので、
これからは普通の(変人?)カップルになれる、はず。
鈴太朗は、本編中でそのワンコな一途さにちょっと危うさを感じちゃったからなー。
今後は落ち着いてくれると思いたいですけど。
先生は、もうちょっと自重するとよいと思います。
あと一年強、(主に先生が)待てるのか否かが勝負の分かれ目です(何
この組み合わせの場合、いくら当人同士が相思相愛であろうと
他の対象とは異なる別次元の障害がありますし、
正直、先生は脇が甘すぎるので大丈夫かなーと心配になる次第。
桐阪先輩は二周目で明かされる先輩視点のあれこれが面白すぎて。
「計算外」の事態が嫌いだからと綿密なプランを立てる割に
逆にそういう「計算外」が発生して慌てている姿ばかり印象的。
付き合ってからはいい感じに先輩の掌の上で転がされちゃいそうで
多分一番安定感のあるカップルになりそうですが
たまには「計算外」発生で先輩が「え!?」となってもいいと思います。
楡居くんは実はプレイ前の期待度一位でした(ケンカップルスキーなので)。
出会いこそサイアクだった二人ですが、
でもそのお陰で変に構えたりせずに本音でぶつかった結果
攻略対象6人の中で一番対等に接することが出来る相手になれたんじゃないかなーと。
眞泉さんからも「くっついちゃえばいいのに」と推されていたり
冴子ちゃんのお母さんに挨拶済みってのも地味にポイント高いです。
和兎さんは、個別感想でも書きましたが
エンディングでの姿が本編時から想像出来ないくらい、明るく楽しそうだったので
これからも二人で幸せに歩んでいって欲しいなーという願望込み。
自分を守る為の「王子様」という殻を、
冴子ちゃんを守る為にぶん投げちゃうところ等
物語を通しての成長? 変化? が見られたところもなお良し。
なお、和兎さんは冴子ちゃんお気に入りのラジオ番組を聞くようになり
投稿もしているそうですが、いったいどんなこと書いてるんでしょうねぇ。
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