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「片恋いコントラスト 第二巻」檜渡鈴太朗 感想。



檜渡鈴太朗
中等部3年なので、冴子ちゃんの一個下。
男子バレー部のキャプテンで、この歳にして183cmという恵まれた長身の持ち主。
見た目通り、元気と明るさが取り柄の爽やかスポーツマンって感じの子です。

これまでの冴子ちゃんの、人付き合い避けまくり学園生活的に
当然ながらこんな後輩君とは全く接点なし。
学園内とかで何度か遭遇してはいるんですが冴子ちゃんの印象には特に残らず。
ようやくちゃんと存在を認識したのは球技大会の時、になります。
といっても、ちょうど試合中だった鈴太朗を「何か背の高い子がいるなー」と目に留めて、
近くにいた桐阪先輩に名前や学年を教えてもらって「へー」という感じで終了。

――したはずが、まさかその日下駄箱に入っていた
「お話があります」なんて手紙の主が彼で
「好きです! 付き合ってください!」と告白されちゃうとかまさしく青天の霹靂。

当然、知らない男の子といきなり付き合うだなんて無理むりムリと断るんですが、
鈴太朗は引き下がらず、「じゃあ、お試しで付き合ってみるってのは!?」と再提案。

…この告白の少し前、生徒会作業中に恋バナで盛り上がったことがありまして。
「好きな人がいないから、誰かと付き合うとかない」と言った冴子ちゃんですが
「付き合ってから徐々に相手を好きになっていくパターンもある」
という桐阪先輩の見解に、「そういう恋愛の形もあるんだー」と
なんだか納得したことを思い出して、「それでもよければ」とお返事。
こうして二人のお試しお付き合いがスタートしちゃうのでした。



ちなみに、鈴太朗が全く接点なかったはずの冴子ちゃんを好きになったのは、
半年くらい前の秋頃、冴子ちゃんが学園裏手の森で転寝していた姿を見初めてのこと。
つまりは「一目惚れ」。
この時に大事なラジオを何者かに壊されてしまったのですが、犯人は実は鈴太朗。
なので「ラジオ壊しちゃって本当にごめんなさい!」と平謝りされます。
が、その直後に「あの時の冴子さんの寝顔、とっても可愛かったー」などという感想を
寝顔を見られた当人に漏らす辺り、素直すぎっつーか反省がイマイチ感じられない件。

そんなこんなで、お試しお付き合いを継続していたある日、
冴子ちゃんは鈴太朗からバレー部の練習試合を見に来て欲しいと頼まれます。
んで、その試合に勝てたら何かご褒美が欲しい、とも。
冴子ちゃんは「何かご飯でも奢ればいいのかな」等と考えますが、
もちろんそんな呑気なお話ではなく。
一応最初は「手を繋ぎたい」だなんてささやか感のあるお願いでしたが、
もう一つだけ、といきなりキスされちゃって冴子ちゃん大混乱、のち逃亡。

…一巻からそうなんですが、冴子ちゃんはこういう重大アクシデントが発生すると、
とりあえずその場から逃走して、数日間は元凶を避けまくる生活を送るんですよな…

このまま逃げ続けても何も解決しない、とわかってはいても
いざ鈴太朗と顔を合わせたらきっと上手く喋れないだろうから
誤解されてしまうのが怖い、とやはり逃げモード。
そんな閉塞状況を解消する手助けとなったのが、
一巻感想時に書き落としていたこの方。



眞泉 千種
冴子ちゃんと同じ、高等部一年(だけど別クラス)の女の子で
学園に棲みついている、否放し飼いされている
ハリネズミのマドちゃん(命名は冴子ちゃん)の飼い主さん。
なお、一巻であの椎葉亜樹那さんが冴子ちゃんに興味を持ってしまったきっかけが
このマドちゃん絡みだったりするのですが、まあそこはそれ。

どこか浮世離れしたような独特な雰囲気の、可愛らしいお嬢さんで
親しい友達がいない、という点が冴子ちゃんと共通項。
但し、眞泉さんの場合は友達作りとかを積極的にしないというだけで
同じ「友達いない」でも、人間関係におけるトラブルを恐れるあまりに
人付き合いを完全拒否する方向に行っちゃった冴子ちゃんとは少々系統が違います。
(そもそも眞泉さん、彼氏持ちだし)

初めてのお付き合い(お試し)に戸惑い、あれこれ悩みが尽きない冴子ちゃんは
この眞泉さんに恋愛相談を持ち掛けるのですが、かなり親身に対応してくれます。
ただ「嘘を吐かれるのも吐くのも嫌い」な子なので
返答が的確っつーかド直球っつーか、本質を突きすぎだったりすることもありますが。

で、眞泉さんに現状を打ち明け色々話しているうちに、いい感じに思考が整理されて
いつしか冴子ちゃんの方も鈴太朗を好きになっていたことに気付いて
「お試し」が外れて、正式にお付き合いという形に。

この後夏休みに入って、映画行ったり、鈴太朗の自主練に付き合ったり、
相手のお宅で一緒に勉強したり、みたいな初々しいお付き合いっぷりを見せられます。
…が、この後絶対別れることが物語的確定事項なだけに
冴子ちゃんが幸せそうな姿を見せる度に何だか申し訳ない気持ちに陥ってました。

二学期に入ると、秋の学園祭及び体育祭に向けて
生徒会所属の冴子ちゃんは仕事が増えて多忙に。
そんな学園祭業務の一環で中等部の、鈴太朗のいるクラスへ行くのですが
そこで鈴太朗に嬉しそうに話しかける女子生徒・園本さんを目にしたことから
何故だかすごくもやもやした気持ちになります。

後日、その園本さん(と鈴太朗のクラスの女子もう一名)が
「うちのクラスの中等部卒業までの思い出作りの為に、彼氏と会うのを控えて下さい」なんて
酷な「お願い」を携えて冴子ちゃんの元に押しかけてきやがりまして。
大変不本意ではあるものの、自分のワガママで鈴太朗の行動を縛りたくないからと了承したら
「彼氏と会う時間が減ってもいいとか、本当に好きなんですか!?」と喧嘩売ってきた挙句に
「やっぱり自分の方が鈴太朗が好きだって告白します!」と宣戦布告まで食らう始末で
冴子ちゃんの心のもやもやはどんどんドス黒く広がっていくばかり。

彼氏と相思相愛状態で幸せ、のはずだった冴子ちゃんなんですけれど
実のところ彼女の自己肯定感の低さはちっとも改善されておらず
「こんな(地味で暗くてダメダメな)自分を好きになってくれるなんて」
ってスタンスは変わらぬまま。
(鈴太朗から向けられている愛情を疑うつもりはないのだけれど)

そのせいで、自分なんかが鈴太朗の彼女でいいのか、
もっと鈴太朗の彼女に相応しい子がいるんじゃ、みたいな不安が常にどこかにあって。
鈴太朗に好意を持っている明るく可愛い女の子・園本さんの出現によってその不安、
彼氏を奪われてしまう可能性がいきなり現実的になってしまって、
落ち着かなくなってしまったのですね。

クラスメイトらと和気藹々と楽し気に作業して
「うちのクラスは男女問わず仲良いんだー」などと明るく語れる鈴太朗と
クラスメイトとは出来る限り接触しないよう避けまくる暗く卑屈な自分との隔たり、
「住んでいる世界が違う」的なものを感じ取ってしまったこともあって、尚のこと。

眞泉さんからは「そういう気持ちは溜め込まずに鈴太朗当人に伝えた方がいい」と
実に的確なアドバイスをいただくも、どれもこれも鈴太朗に言うどころか、
むしろこんな嫉妬に塗れた醜い姿を鈴太朗に見せるなんて無理と
生徒会の仕事にかこつけて、鈴太朗から逃げ回るようになってしまいます。
「一緒に回ろうね」と約束していた学園祭本番も結局仕事に逃げて、
学園祭が終わった後は、今度は鈴太朗の進級のためという口実で
「会う時間を減らそう」とやはり逃げ。

そうして鈴太朗と直接顔を合わせなくなってから一か月ほどが経過した頃。
ずーっと元気がないよね、と桐阪先輩に指摘され、
気分転換にと先輩がバイトしているカフェに連れていかれるのですが
そのカフェから出たところで鈴太朗を――
よりにもよって、園本さんと一緒にいるところを目撃。

その事実だけでも平静を保てないってのに
冴子ちゃんが見ていることに気付いたらしい園本さんは
わざと見せつけるように鈴太朗の腕にしがみついて、鈴太朗の頬にキスまで。
これまで必死に自分の本当の気持ちに蓋をしてやり過ごしてきた冴子ちゃんも
流石にこの所業には限界で、
「もう嫌だ」と泣きながらその場から走り去ってしまうのでした。

一応その後、園本さんと一緒にいたのは冴子ちゃんへのクリスマスプレゼントを選ぶためで
まさか園本さんが自分のことが好きで、
あんなことをやらかすだなんて全く思っていなかったし
自分の想いは全く揺るぎない等と鈴太朗が訴えてくるんですが、
冴子ちゃんの方は最早何を言われようとも
鈴太朗の「信じて欲しい」という言葉に頷くことが出来なくなっていて。
このまま鈴太朗を傷付け、苦しめたくないと別れを告げるのでした。



さて。
二人のお付き合いはこんな悲しい結末を迎えちゃった訳ですが、
結局のところ何が悪かったのか。

桐阪先輩も眞泉さんも隙がありすぎだった鈴太朗が100%悪いと言ってくれますが、
どちらも心情的に冴子ちゃん側の方々なので当てにならんというのが正直なところ。
鈴太朗の隙というのは、園本さんという鈴太朗への好意全開の女子と二人きりで行動して、
挙句にあんな様を晒したことなんでしょうけど、
冴子ちゃんの傍にだってやはり好意駄々漏れの異性・桐阪先輩がいる訳で。
この点については、あまり鈴太朗だけを責めるわけにはいかないかなと思います。

彼氏である鈴太朗は結構頑張っていたと思うんですよ。
愚直ではありますものの冴子ちゃんへの想いだけは揺るがない方ではあるので。
疑心暗鬼に陥った原因はほぼほぼ冴子ちゃんの内面の問題ですし
そこに至るまであれこれ(園本さん押し掛け事件とか)を、
一切お知らせしていないんだから察するしかないけどそんなん無理だし。
もっとお互いに言葉を尽くして、信頼関係を構築していれば、としか言いようがないです。
それなのに押し掛け事件以後は会う時間すらがっつり減らしちゃってるという
物語構成上仕方がないとはわかっていても、何もかもが裏目状態でしたからねえ…

あ、強いて言うなら、鈴太朗に近づいて来た園本さんが大変タチが悪かったところですかねw

園本さんってば「人は恋をすると身勝手になる」だの
「心を手に入れるためなら悪魔にだってなれる」だの、なかなかすごい恋愛観をお持ちで。
鈴太朗を想ってあれこれアプローチしてきたのに、想いが伝わるどころか、
全く眼中に入れてもらえなかったから色々と拗らせてしまったんだろうけど、
まだ中学三年生なのに。
でも、冴子ちゃんと別れたことを誘導尋問的に聞き出して、
そこで「私にもチャンスが!」とあまりに正直すぎる本心を鈴太朗本人に言っちゃうところとか
まだまだ爪が甘いところが中学三年生、なのかなと。

こうして冴子ちゃんの「初恋」は終わってしまいましたので
この後は「傷恋編」、もう一人の攻略対象・桐阪先輩のターン!
そのため鈴太朗の登場はぱったりとなくなり、
ちゃんと再登場してくるのは翌年のバレンタイン前くらいになってから。
やや騙し討ち気味に冴子ちゃんの前に現れ、
「これからは友達に」などと申し出てくるんですが
あの冴子さんしか見ていない鈴太朗が「友達」なんて枠組で満足するはずがないのです。

春になると、鈴太朗も高等部に進級してきて、なんと生徒会入りまでやってくれます。
生徒会室に鈴太朗がやって来た時、桐阪先輩が扉封鎖して閉め出そうとするも、
ガラッと窓開けて入ってきたのには正直笑ったw

んで、奇しくも最初に告白された時と同じ、
球技大会の後に鈴太朗から改めて告白されまして。
この頃には既に桐阪先輩からも散々迫られた後なので、
どうしよう状態に陥っちゃうのが「三角関係編」になります。



――鈴太朗って二周目で追加される彼目線エピソードでも
ひったすらに冴子さん冴子さんで、
その真っ直ぐ一途でたまーに行きすぎるところがちょっと危うく感じる時があります。
嘘吐くとか卑怯なことは嫌いとか言う割に、
冴子ちゃんに想いを伝える為ならば「仕方ない」と卑怯な行動をも許容するところとか。

ちょっと冷たい反応するとしゅーんと落ちこむ姿なんか見ると
実にワンコ系年下君で可愛いんだけれどさー。
鈴太朗EDを迎えている冴子ちゃんだったら素直にその可愛さを享受できるんでしょうが、
先輩EDに行っちゃった場合、本当にきちんと諦めてもらえるのかちっとも安心できませんw
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