椎葉 亜樹那高校一年で、冴子ちゃんのクラスメイト。
見てのとおり眼鏡君ですが、実態はサッカー少年。
冠咲学園はプロ選手を多数輩出したサッカー強豪高らしくて、
亜樹那もプロを目指しているが故にこの学園に進学したんだとか。
出会いこそ、「学校の裏庭で泣いている」だなんて意外な姿でしたが、
何かそんな繊細(?)な第一印象を吹き飛ばすような超マイペース「変人」です。
良くも悪くも空気読めない人で、場の雰囲気とかお構いなしで真っ直ぐ突き進むタイプ。
冴子ちゃんはそんな亜樹那に「面白い奴」と興味を持たれてしまい、
がんがん容赦なく距離を詰められて
変人のフリとか氷点下対応とかして何とか離れようとするんですが、
所詮養殖物は天然に敵わないっつーか、「空気読めない」亜樹那には全く伝わらず、
より気に入られてしまうという悪循環。
あと、この方は「新商品」のお菓子に目がなくって。
かつ丼味チョコだの焼きナス味ソフトキャンディといった
明らかに「誰がこんな企画通しやがった!?」レベルの不味そうな代物を
「試さないと勿体ない」と躊躇わず購入。
そんだけなら当人の自由ですけど、それを配って下さるんですよ。
当人には嫌がらせの意図とか全くなく「誰かと食べた方が美味しいから」でしかなくて、
周りのドン引いてる様に気づかずに大変好意的に押し付けてくるっていうね…
まあこんくらい強引な人でもないと
冴子ちゃんを捕まえるのは難しかったんだろうなとも思いますが
実際身近にいたら、と考えるとちょっと困った方ではあります。
まず、最初に一言。
どうして保先輩を攻略できないんですかー!?(二巻をやれ)
「片恋いコントラスト」全三巻は、舞台や主人公は共通だけれど
「些細な選択や行動があなたや他人の人生を大きく変える」っつーことで
冴子ちゃんのちょっとした行動の違いで運命――仲良くなれる相手が変わるって寸法。
第一巻は完全に亜樹那&和兎のターンで、
同じ学校だから他巻の攻略対象もちょこちょこと
顔を出してはくるけれど親しくはなれないのです。
(「Tlicolity Eyes」でも他巻のキャラ出てきたけど、一瞬の顔見せって感じだったし)
ですが二巻の攻略対象であるはずの桐阪保生徒会長は、
その割には関わり方が大変がっつり、かつ長期間でして。
偶然(多分)知り合った生徒会長から半ば強迫的に生徒会へと勧誘されまくり、
最終的に根負けして、生徒会入りした訳ですが、
会長は冴子ちゃんの「人と関わりたくない」要望をわかった上で、
でもそのままではいけない的にあれこれ気にかけてくれるんですね。
しかし今作では保先輩の好意的気遣いは冴子ちゃんに届かぬまま。
気がつけば冴子ちゃんが亜樹那や和兎と親しくしている姿を目の当たりにして、
「え…!?」と呆然としちゃっている様が物悲しいというか何というか。
ついで言うと、二巻でのもう一人の攻略対象である中等部の檜渡倫太郎。
学校行事とかでたまに遭遇するんですが、
出会う度に「一回目」とか謎カウントを呟いてくれるので
いったい全体意味不明すぎて大変気になっております。
二巻楽しみ。
さて。
何度か書いてきましたが、冴子ちゃんはとにかく人と関わりたくない子。
小学校時代に人間関係トラブルに巻き込まれて傷ついた経験から、
「だったら最初から誰とも親しくならず、距離を置いていればもう傷つくことはない」
ってある意味極端な結論に至っちゃったんですね。
だから、亜樹那とも極力関わりを持ちたくなかったのですが
あちらの強引さに半ば負けたような形ではありますが、二人は「友達」となります。
亜樹那は確かに「変人」で強引だけど、裏表がない正直者と言えるし、
そういう相手と一緒にいるのはまだ「嫌じゃない、かな?」と思えたので。
そこから会話が増え、お昼食べたり等二人は一緒に過ごすようになっていきまして、
「何となくそっちの方がいい」レベルの理由でお互い下の名前呼びするようになり、
週に一度、部活&生徒会の終わり時間が近いからと一緒に帰るようになり。
と絶妙に関係がレベルアップしていくんですが、
この二人、付き合うつもりは全くないんですよ。
亜樹那は「サッカーでプロになるまで彼女とか作る気ない」と宣言済みだし、
冴子ちゃんも「こんな変人に恋するとか100%有り得ない」と返していたくらい。
なのですが、友達として亜樹那と一緒に過ごしていく中で、
悩みがなさそうに、傍若無人に生きているように見えた亜樹那の
ふとした時に見せる寂しそうな表情とかに気付いてしまって
そんな辛そうな時に傍にいてあげたいという気持ちがどんどん募っていってしまって
気がつけば目がそらせないほど「恋」を自覚せざるを得なくなるのです。
亜樹那への「恋」に気づいた冴子は、その気持ちを隠して
これまで通り亜樹那とは「友達」として付き合っていく道を選びます。
「彼女作る気のない」亜樹那が冴子のことをそう見てくれるはずがないし、
冴子ちゃんの抱えた想いが「恋する相手の傍にいられるだけで幸せ~」みたいな
ほわほわ平和的なだけのものだったらよかったんですが
部活のマネージャーとか、他の女子が亜樹那と楽しげに話している姿を目にするだけで、
「他の子と話さないで」みたいな醜い嫉妬心まで芽生えてくると、
「恋なんてしたくない」「友達のままでいられたらよかったのに」
とか思いたくもなりますよね。
一時は恋心を抑えこもうと頑張るのですが
どうしても想いが止まらなくなって、ついには溢れて決壊しちゃった結果、告白。
そして、前々から宣言されていたとおり、「友達以上には見られない」と
冴子ちゃんの「初恋」は亜樹那に受け入れられることはなかったのでした。
――「傷恋編」につづく。
…これを言ってはおしまいだとは思うんですが
この時の冴子ちゃんの告白を亜樹那が断らなければ、
こう長々とgdgdせずにあっさりさくっと完結したんじゃね?(台無し)
少なくとも思いを自覚した二学期以降なら、
亜樹那の方から言われても即おっけーだっただろうし。
でもその場合、和兎さんっつー可能性がカケラもなくなっちゃうから
和兎派としては亜樹那さんが面倒な人で良かったってことになるのか…
いや、そもそも亜樹那がああやって強引に引きずり出さないと
冴子ちゃんは人付き合い全てをシャットアウトして逃げ続けたのだろうから
彼がいなければこの三人の物語が始まることすらなかったと言えるのだろうけど。
あまりにも強引で人の話聞いてない度合い高過ぎなのと
押し付けられそうになるお菓子群がマジ無理な代物すぎるのと
一回振られることが決定事項っていうのがね。
以降の冴子ちゃんの葛藤や苦悩を見ているだけに
どうにも点数が辛くなっちゃうんですよねー。
亜樹那さんは「見た目よりずっと嘘つき」で
「裏表なさそう」と評された割に内心を隠すのがお上手なこともあり
(読者的には薄々察することが出来なくはないけど)
少なくとも冴子ちゃんには
「ちょっと距離感が近すぎるだけのお友達」の側面しか見せてくれなくて。
亜樹那の本当の気持ちや抱えている事情――
「自分は幸せになってはいけない」と頑なになるに至った事情だとかが
はっきりするのは「三角関係編」に入ってからで
「初恋編」の頃の心情が明かされるのは二周目というのも、
物語の構成上仕方がないんだけど、ちょっぴり不利で不憫な気がいたします。
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