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« 「レイトン教授VS逆転裁判」。 | 「密室のサクリファイス」。 »

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「TRICK×LOGIC Season1」&「TRICK×LOGIC Season2」。





12/11/13 シーズン2までクリア
ビルの屋上から突き落とされた天才検事・芳川樹。
一命は取り留めたものの、意識不明の重体に陥った彼の魂は冥界へと迷い込み、
そこで閻魔大王ヤマ・ラージャと出会う。
ヤマの仕事は「アカシャ」と呼ばれる、この世で起こった出来事が記された書物をもとに
事件の真相を解き明かし、罪人の魂に公平な裁きが下るようにすること。
芳川は元の世界に返してもらうことと引き換えに、その仕事の手伝いを頼まれる……
冥界とか「アカシャ」とかいろいろと謎ワードがございますが
簡単に申しますと、殺人等何らかの事件が記された文章を読んで
その犯人とかトリックを突き止めろっていうゲーム。
綾辻行人や有栖川有栖といった、いわゆる新本格系の推理小説家がシナリオを執筆、
というところで大いに気になっていた一本。

Season1、Season2併せて本編全10話、
それにチュートリアル的練習問題とおまけシナリオ(謎解きなし純粋読み物)一本付。
執筆者は上に挙げた二名に加え、
我孫子武丸、竹本健治、大山誠一郎、麻耶雄嵩、黒田研二の計7名となっております。

で、肝心のゲームシステムでありますが、従来の推理物と異なり、
探偵役の主人公は冥界から出られないので所謂捜査活動ができません。
その代わりにゲーム中「アカシャ」と呼ばれる小説を読んで
それを元にいろいろ推理していく、いわゆる安楽探偵物な訳ですね。

「アカシャ」の文章の中には例えば「頭部に殴られたような痕」のような
赤文字で記されている「キーワード」があり、
それを拾ったり又は別の「キーワード」と上手く組み合わせたりで
事件に関わる疑問「ナゾ」を見出すことができます。

「ナゾ」は更に別の「キーワード」と組み合わせることで
「ナゾ」の解答に当たる「ヒラメキ」(例「凶器は○○だ」)という仮説を生み出し、
「ヒラメキ」は事件毎に用意された「調書」内の設問
(例「犯行に使用したものは何か?」)の解答となり、
調書の問が全て事件の真相と合っていればクリア! となります。

この、「ナゾ」や「ヒラメキ」を生み出す作業が
良くも悪くもこのゲームの作業時間の大半となります。
最初はそれらしい怪しげな「キーワード」選べば大体当たりなんですが
後半になると事件の概要が不可解さを増すこともあり、
組み合わせも結構素っ頓狂と言いますか
何でこれとこれが? と言いたくなるようなものもあったりで四苦八苦。
(というか、純粋に事件が難しくて読んだだけではすんなり真相が推理できないだけとも言う)
でもその分、「ナゾ」や「ヒラメキ」が生まれた瞬間の達成感は格別、かも。

それと、このゲームの事件の特徴として
ゲーム名が「TRICK×LOGIC」となっているようにその謎解きはトリック重視。
また、前提として「動機の強い弱いは重要ではない」ともあげられているように
動機がかなり薄~い人物でも犯人たり得るので
真相で「ええーっ!?」となることもしばしば。

あと、新本格系のあれやこれやに慣れている人ならともかく
そうでないと一部事件に関しては「ええーっ!?」で済まないレベルのものもございます。
自分は、ええ、某Mさんが執筆陣に入ってた時点で
ある程度覚悟していましたし、やっぱり予想通りで笑い転げましたが
これ、「んな訳あるかー!」的にPSP投げつけたくなるような人もいると思う。

自分は「ナゾ」「ヒラメキ」探し作業も出題内容も楽しめたんで、
続編を作ってくれるならぜひぜひ! という感じ。
ですが、(出題者の確保とか特に)難しいんでしょうかなあ

以下、各話毎の感想等、ネタバレまくりで。



このゲームの、動機ほぼ無視トリック重視なパズル的側面って、
かつて一部推理小説が「人間が書けてない」とか散々批判されていましたのの
いい感じにアンチテーゼになっているような(大袈裟)

練習問題「指さす死体」
白井さんがビデオカメラぶん回して殺ったもんだと
延々誤解してました、等と初っ端からネタバレ全開感想。

だって、黒木さんは漫画読んでただけーくらいしか情報ないし、
それに引き替え、白井さんはバリバリの撮り鉄っちゃんで
その邪魔をする者は(以下略)って展開かなと。
言い換えれば、このゲームの基本「動機の強い弱いは重要ではない」を
端的に表しているいい練習問題だったと言えるでしょう。

No.1 「盗まれたフィギュア」
出題者は「かまいたちの夜」の我孫子武丸。
ここから正式に本編、ということで現世より丸の内刑事と
カメラマン見習いの天野つかさが推理のお供として参戦です。
彼らが言い出す迷推理・珍解答はちょっとずれていつつも微妙にヒントになる、
つーか、実際にこの話ではこれらをヒントに上手く発想を広げたら当たり、でした。

まあ、この頃はまだ一話目ということもあって
事件の状況なんかもかなーり大人しかったなあと思う次第です。

No.2 「明かりの消えた部屋で」
出題は竹本健治、代表作は「匣の中の失楽」……だが、未読。
自分的には「ウロボロスの偽書」の人なため、印象は偏っているかも。

つかさちゃん、貧乏学生ぽいのに
「肉食倶楽部」なんつーサークル所属で韓国旅行なぞしてるとは意外。

動機的には被害者の役者仲間や
一緒に旅行した男友達が怪しい? とか思いましたが
このゲームは「動機の強い弱いは(ry
とは言え、犯人もトリックも結構あっさりストレート、でわかりやすかったです。

No.3 「雪降る女子寮にて」
出題・麻耶雄嵩と見た瞬間、どんな奇想天外が来るかと思ったら
事件そのものはそれほどあれではなく、結構あっさりさくっと解決。

でも、関係者がマリオネット部所属で全国大会がどーのという辺りは
さすが登場人物「わぴこ」をやらかして下さった方だなあと。
あと、今回の被害者さんが多方面で恨み買いまくりなため
誰に殺されたとしてもおかしくないっていうのはいろんな意味で酷いっすよね。

No.4 「切断された五つの首」
この話の出題者・大山誠一郎氏だけは完全に未読、
申し訳ないが名前すら知りませんでした。
でも、この話は4話目にしてシーズン1の実質最終話なだけあり
犯人もトリックも、素敵に騙されたので面白かったー。
いずれ、本屋とかで見かけたら買ってもいいと思ったくらい。

被害者が非常にクズで、行動内容もその動機も実に馬鹿で
まさかこんな想像を絶するアレとは、出題文一読した程度では読み取れませんでした。
あと、やはりこの話はいわゆる「書かれていない部分」≒重要ではないと言いますか
書くとしても「異常なし」で済んじゃうレベルなのかと勘違いさせられた辺りが素晴らしい。
弟との入れ替わりトリックがさんざん出題文でも珍解答でもクローズアップされていたのが
これまたいい感じにミスリードさせられちゃったなーと。

No.5 「亡霊ハムレット」
ここからシーズン2。
出題者の黒田研二氏は「ウェディング・ドレス」の著者、というより
メフィスト賞に何度も何度も応募してた人ってイメージのが強いです。

富豪が主催する仮装パーティで、
西洋甲冑を着た何者かがファントム(もちろん仮装)を銃殺。
その様子は監視カメラでばっちり複数人が目撃。
という、基本シチュエーションから何というか「らしい」なーという印象。

正直、この事件一番の被害者であるあの娘さん、
後日談では少しは回復できたようだけれど、
身内にも恋人にも裏切られ、失って、と実に散々ですよなあ。

No.6 「ブラッディ・マリーの謎」
No.2の竹本健治氏の2本目。
ある閉ざされた雪の山荘、ならぬ温泉ホテルでの殺人事件。
関係者にミステリマニアな学生さんがいるんですが
彼らが事件現場で頑張って的確な対処(検死とか)をしようとしている様が
何だか微笑ましかったなーとか。

犯人のある意味大胆すぎる殺害計画にはいろんな意味で脱帽。
いくら事前に被害者の状況を知っていたとはいえ、よくもやれたなあと。
そういう点でもトリック>犯人の心情つー感じでもありますが。

No.7 「ライフリング・マーダー」
問題作そのいち。
というか、予告内容のぶっ飛びっぷりを見た時点で「これは絶対麻耶雄嵩※」。
で、絶対天変地異レベルの奇蹟が起こっているに違いないな、と。

※この方の一部著作がトンデモトリックスレなんかで
 かなりの確率で取り上げられるという時点でお察し

実際その通りで、この方の某作とか既読の自分はもう笑い転げてましたが
それを知らない大真面目な人とかだと、これはPSPぶん投げたくなるんでないか。

事件が事件なだけに「ナゾ」や「ヒラメキ」自体から
「二階建ての船」だの「ヘリから狙撃」だのぶっ飛んでたのは面白かったですけれども
犯人の特定に至る情報があの一言だけっつーのは引っかかるところがないではないです。

No.8 「目の壁の密室」
前の話があれだっただけに、すごくまともに思えてしまいました。
ちなみに、No.4「切断された五つの首」の大山誠一郎作品。

犯行時刻に監視カメラに何も映ってないけど殺人発生。
現実ならともかく、ミステリなので時刻か場所が違うってのはすぐ想定できますわな。
ただ、被害者やあのお医者さんの行動はちょっと不可解。

No.9 「Yの標的」
問題作そのに。
「安楽椅子探偵」の有栖川有栖&綾辻行人コンビによる共作。

殺害方法が使用物と言い、使用方法と言い、
まあ、回転する島を見た後なんで麻痺しちゃってたというか
もう笑うしかないねな感じ。
作者はまあ、トリック思いついてから書いてるからいいけれど
逆に出題文見てトリック考える側には想像すらできませんて。
個人的にはつかさちゃんの推理+αの方だと思っていました。
(バンジーでなくて凶器のみシュート!)

で、死ぬかどうかは運を天を任せるという感じで
死んだんなら天意がなかったのねーみたいな気持ちなのかなと思いきや
初代による超遠大な計画殺人だとは恐れ入った。
殺害方法といい、その計画を委ねた人選といい、初代さま慧眼すぎ!

No.10 「完全無欠のアリバイ」
No.1の我孫子武丸氏による最終話。
トリックにこだわりまくりの本作らしく、がちがちのアリバイ崩しもの。
普通に考えれば身内には不可能な犯罪だけれども
ゲームに出てくるからには当然殺害可能な抜け道が存在するんだよねーな話。
そういう意味では共犯が4兄弟てのは想定の範囲内、
あとは誰がどのように手伝ってアリバイ構築したかの一点。

一瞬お手伝いさんが殺っちゃった!? とか思ったのは内緒。

メインストーリー 「芳川樹にまつわる事件」
序盤~中盤は特に問題なかった。

が、終盤のどたばた雪崩のような展開はいったい何なんでしょーか。
全15話くらいだったのをいきなり無理やり、
「全10話に修正しろ、締め切りは明日な」って言われて
泡食って辻褄合わせをしました、みたいな纏め様。
もうちょい真犯人さんの情報等を薄くでも出したりしとけば
この唐突であれ~? な感じはなかったのかもですが。

あと、「芳川が今まで有罪にした被告はみんな無罪」ってのは
要らない設定だったんじゃね?

一応それが理由でヤマさんから「お前有罪だから帰さねー」扱いされたり
最後は芳川が悔い改めて、ちゃんと犯人を有罪にする検事になるという
成長物語的展開になったりはしましたが
それだとしても有罪にされちゃった人々があまりにも可哀想すぎる。
別に芳川だって好きで無罪なのを有罪にしてった訳ではなかろうに、ねぇ。

ちょっと最後が気に食わなかったので感想としては辛〆になってますけれど
ゲームシステムや操作が軽快な感じが大好物でしたんで
もしも続編が出るということがまかり間違ってあるのだとしたら、是非是非!

……まあ、上手く原稿が集まらなくて(ry な気もしないではないですけれど。
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